京都府福知山市夜久野町は、京都府北西部に位置し、古くから日本でも有数の漆の産地として知られていました。明治時代には、この地域に500人もの漆掻き職人がいたと云われています。
しかし現在、日本で使用されている漆の98%が中国産となってしまい、また産業の移り変わりにより、全国の漆の産地は次々と姿を消していきました。現在も技術を継承している地域は全国でもほんのわずかとなっています。
その貴重な技術を継承しているのが「丹波の漆かき」であり、京都府の無形民俗文化財に指定されています。
「漆かき」とは、ウルシの木から漆液を採取することです。6月頃から特殊な道具で木に傷を付け始め、4日に1回のペースで9月頃まで傷を増やしていき、漆液を採取していきます。出来るだけ木を傷めないようにしながらも多くの漆液を取るために、一定の寸法をきめて傷を付ける必要があり、これには技術を要します。
木の特徴や技術によって採取できる漆の量は変化しますが、通常1本の木から取れる漆の量は牛乳瓶1本程度とかなり貴重な物です。
木はその年の漆かきを終えると根元から切り倒されてしまいます。10年以上育った木でないと漆液を採取できないため、技術を継承していくためには「ウルシの植栽」も漆かき職人にとって大切な仕事となっています。